HR96の完成すぐに、実機を試聴する機会をいただきました。
9600ZZのオーナーとしては、以前から同機の更なる改良の話は聞いていたわけですが、スピーカー買ったりで資金がなく、当分の間は無理だなぁと考えていたのですが、聴いた後の印象は「あぁ返したくないなぁ」と。
ベースとなっているDV9600は同じで、手を加える技術者もおなじですから音の方向は同じです。
ただ、HR96を聞いたからこそわかった、9600ZZにかかっていたリミッターの存在。奈良岡さんの話も聞いたうえでなるほどなぁと。
つまりは高域(コンサートホールの大編成の演奏では「雑音」と別される音を含め)の抜けと安定した空気感。
決してメタボではない誇張のない中域。
十分な解像度を伴う雄大な低域。
それらを含め、いつも言うことですが、SACDディスクに詰め込まれた音情報が極々自然な形でスピーカーから放たれています。
そのすべてが「極々普通に」提供されるわけですから、聞き手によっては最初「あれっ?」と違和感を感じるかもしれません。生の演奏会なら理解できるが、自分が今聞いているのはオーディオだよね?と。
常々生の音に接している身としては、これは極上の時間なのです。
次にネジなのですが…(これについてはHR96返却後でしたので、9600ZZで聞いています)
最初送られてきたネジでも十分でした。
以前からカーボンネジでは強度において懸念があり、(だってコンセントがしょっちゅうグレードアップされるから、取りはずしの機会が増えるわけで)、強いネジについては待望のものでした。
ただ、材質が根本的に変わることで、金属のネジからカーボンネジへ、音質優先で移行した身としては若干の不安もあったわけですが、これまたHR96のときと同じく、スカーっと抜ける高域をはじめとして、個人的趣味としては若干メタボだった中域が整理されたことは大歓迎でした。
このネジと96は開発時期も重なっていた関係か、奈良岡さんの共通のコンセプトを感じることができました。
さて、このネジで満足していた後、一方的に送られてきた代替のネジですが…
まずは、形状の違いから間違って送られたのか?と思い、取り付けをためらっていましたが、電話でコンセントプレート留めネジで間違いないとのことでしたので、つけなおしてみました。
音の違いは…音出しした瞬間から判別可能なもので、ピラミッドバランスの底辺がさらに拡大され、当然の効果として上も伸びる、中域も豊かになるという。
取り付けから3日たった現在では、低域はさらに豊かになり、全帯域の音の豊かさに直結しています。
いつも大好きで聞いている(システムの内容が変わるときはもちろん)ディスクを何回も聞きなおしてはヤッホーと叫んだり、にやけていますが、新譜を聴き進められないのが贅沢な悩みです。


まず最初に以前のDolphinの私のオリジナルブランドは「HR」でしたが、これからは「HP」となります。
以前とは背負ってるブランドが違うということと、Hideki Procectという意味です。
CROSS POINTとDOLPHINの差別化は、CROSS POINTはオーディオアクセサリー(それもメジャーな)のみで、DOLPHINは私自身が気にいったオーディオ製品の販売、またそれらの製品のモデファイ、また市場が確立されていないようなマイナーなオーディオアクセサリーの販売となります。
さて、HP96に関して感想ですが。
今までの9600ZZは最終的に「DV9600はここまでだろう。」という見切りをつけ、音が音楽としてまとまるためのチューニングなる行為を行っていました。
ある意味自分の中での枠にはめ込んだ中での製作でした。
このように書くと悪意を感じられる方もおられるかもしれませんが、「これでも超ハイエンド機を手玉にとるんだから」と言う開き直りと確信もあったわけです。
それに対してHP96は「一切のチューニング行為を取り払い、理詰めのみで製作しよう。枠にはめ込むことを一切しない王道的横綱相撲をしよう。」と製作にあたりました。
その内容は電話でもお話しした通りです。
結果出てくる音も王道的なサウンドに仕上がってると自分は思っています。
低域フェチの方も、中域フェチの方も、高域フェチの方も納得していただく、ワイドレンジかつ、全帯域高密度(高情報量)な音に。
当然にそれが成立するために、(聴感上)の高SN,低歪も追及してるわけですが。
”み”さんの感想、私の解説でHP96のイメージが少しでも伝わればと考えています。
さて、ねじに関してですが。
最初に送ったねじも市販のねじに比べるなら数段いいとは思うのです。
ただ、「究極」なんて言葉を吐くなら、CFRPやCCねじに比べ相対的にどうなんだ?と言うのが問題になってくるのだと思います。
聴いていただいた通り、最初に送ったねじの段階で、レンジの広さに関してはCFRPねじやCCねじを凌駕していたと思います。
しかし中域、中低域を中心に充実した音心をもつCFRPねじやCCねじに比べるなら、その部分が最初のねじでは足りなかったと思います。
後から送った方のねじはCFRPねじやCCねじが持つ音心を持ちながら、逆にCFRPねじやCCねじの持たない圧倒的レンジ(圧倒的低域となめらかな高域)を手に入れたのではないかと思っています。
このねじが”み”さん他、プロジェクトに参加していただいた方のところで活躍していただくことを期待しております。

